東京高等裁判所 昭和31年(ネ)208号 判決
先ず請求原因の変更に対する被控訴人の異議について考えるに、控訴人は、第一審において、控訴人と被控訴人間に昭和二七年三月二七日、被控訴人は将来適当な時期にその所有にかかる本件宅地を、其の時の適当な価格で控訴人に売り渡す旨の売買予約が成立し、将来売買契約が成立した際は代金より差引くことの約束の下に、控訴人が被控訴人に対し金二〇万円を内入金として交付したが、右売買予約は無効であるから、被控訴人は右金二〇万円を不当に利得したものであることを請求原因として、控訴人は被控訴人に対し金二〇万円及びこれに対する昭和二七年三月二八日以降完済まで年五分の金員の支払を求めていたところ、当審に至り、右金二〇万円は、控訴人が被控訴人から賃借していた本件土地の借地権利金として交付したもので右は地代家賃統制令に違反するものであると請求の原因を変更し、その返還を求めた。しかしながら、請求原因の基本たる金二〇万円の当事者間における授受が、売買代金の内入金としてなされたものか、借地権利金としてなされたものかは、全く異なる事実関係に属し、その変更は請求の基礎に変更がないものとはいい得ないし、変更した請求原因については、従来の訴訟資料では足りず、更に新たな証拠調の施行を必要とするものと認められるから、これにより訴訟手続を著しく遅滞せしめるものといわなければならない。しからば、前記請求原因の変更は許されないものとする。
(角村 菊池 吉田豊)